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研究者向けの理化学ガラス用品を大胆に価値転換

関谷理化株式会社 ハウスウェア営業部 猪野和雄さん

1933年創業の老舗理化学ガラス問屋・関谷理化株式会社。新たな取り組みとして2015年4月に東京・清澄白河の地にオープンしたのがアンテナショップの「リカシツ」だ。「理化学+インテリア」をキーワードに研究者向けの理化学ガラス用品を大胆に価値転換、個性的な生活雑貨としてコンシューマーの注目を集めている。リカシツの取り組みについて、同社ハウスウェア営業部の猪野和雄さんにお話を伺った。

November 26 2015 , Interview

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ガラス職人の多く集まるエリア・清澄白河を拠点に

――もともとは同じ建物の2階部分で営業されていたんですよね。

猪野 そうです。現在は旧店舗の約2.7倍のスペースがありますから、広くなった分だけ幅広い商品を提供できるようになりました。以前は契約の都合もあって木材をベースにした落ち着いたデザインでしたが、移転するにあたり内装にも手を加えています。

――旧店舗は木造校舎で小学生時代を過ごした経験のある人なら「懐かしい」という印象を受けるような造りでしたね。

猪野 初めて物件を見たとき「理科室の雰囲気があるな」と直感したんです。より馴染むようにカタカナ表記にしましたが、「リカシツ」という店名もほぼ即決に近い形ですね。

――そもそもどういった経緯でリカシツを始めようと思われたのでしょうか?

猪野 運営元である関谷理化株式会社は、1933年創業の理化学関係のガラスの卸問屋です。主な取引先は大学などの教育機関や民間の製薬会社さんを含め、ビーカーやフラスコを用いる、いわゆる基礎研究市場。ですが少し前から、インターネットを通じて一般のお客さまから「理化学用品をインテリアとして使いたいのだけど、どこで買えるの?」という問い合わせをいただくようになりまして。静かなブームと言うか、一般の方からも注目され始めていたんです。

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――確かに一般ユーザーからすれば、理化学用品ってどこで買えるのか見当がつかないですよね。

猪野 通常は大学や製薬会社と取引している地元の販売店に対して直接卸しているものですから、なかなか一般の方の手に届かないような商流なんですね。そうした中、そんな一般の方の声やトップの方針もあって「ひとつアンテナショップ的なものを出してみようか」という動きになり、昨年(2014年)の暮れから物件を探し始めました。

――出店場所はどのように決めたのでしょうか?

猪野 関谷理化の本社は日本橋ですが、この江東区には私どもの職人を抱えた工場があるんです。というのも、もともと墨田区や江東区というのは歴史的にガラス職人が多いエリアなんですね。それもあってこの近辺で物件を探していたところ、偶然この場所が4月から使えるという話をいただいて決めました。まだオープンから半年ほどですが、清澄白河はブルーボトルコーヒーが出店するなどコーヒーの街として知られるようになったこともあり、若い方たちが訪れるようになっています。コーヒー片手の散歩の合間に立ち寄られるお客さまも多いですよ。

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アンテナショップから広がるムーブメント

――やはり土日の売上の方が高いんでしょうか?

猪野 実は8月までは土日祝日の午後のみの営業だったんです。しばらくして徐々に「来てはみたけど閉まっていた」というお客さまの声を聞くようになったため、それならと9月から平日も営業をすることにしました。

――それだけ評判がよいということですね。

猪野 ありがたいことにリピーターが増えてきました。「先週は主人と来たけど、今週は学生時代の友達を連れてきた」とか、横の広がりが出てきたかなという実感は非常にありますね。それから広がりということではこの店舗の他にも、ロフトとリカシツのコラボレーションという形で、8月の第3週から渋谷ロフトにスペースをいただいて販売もしています。

――それは期間限定でしょうか?

猪野 まずは1カ月やってみてという感じで始めましたが、順調なのでもう少しやってみようかという話が出ているところです。

――ロフトにはそもそも商品を卸していらっしゃったんですか?

猪野 いえ、今回が初めてです。以前に一度、関谷理化として食器ビジネスを始めようという時にある展示会に出展したんですね。その時にロフトの担当者と顔合わせする機会があって、「食器も面白いけど、むしろ理化学用品の方がブームですよ」と。じゃあ一回やってみましょうかというようなことで話が進みました。

――なるほど。こうやってロフトさんなどでやられると、いろんなデベロッパーさんから「ぜひ一緒に」と声を掛けられたりしませんか? 実店舗やオンラインショップも含めて。

猪野 どちらもありますね。徐々に認知度が上がっていると感じます。リカシツには公式オンラインショップもありますが、そういった販路を通しても都内中心だったお客さまが各地に広がって来ました。いまでは東京だけでなくいろんな地域からお話をいただいています。

 

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一般ユーザーが吹き込む理化学ガラスの新しい価値

――カスタマイズのオーダーにもお応えしていると伺ったんですが、そういった要望に対しては基本的にはオンラインで受け付けているんでしょうか?

猪野 そうです。もともとはあるコーヒーファンのお客さまから「ビーカーでコーヒーを飲んだら手が熱くて仕方ないので、取っ手を付けてもらえないか?」というお話をいただいたことがきっかけでした。ビーカーは本来取っ手がありませんから、社内のガラス職人に相談したんですね。それで「こういったものならできますよ」と出来たのが、リカシツオリジナルの取っ手式のビーカーシリーズです。それからもうひとつ、こちらのアクアリウムも「フラスコの首部分を切ってくれないか」というお客さまからのご要望で生まれた商品です。

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――フラスコを水槽のように使いたいとリクエストがあったんですか?

猪野 そうです。卓上で小魚を飼育するボトルアクアリウムというものが流行っているとお客さまから教えていただいて、それで私どもでこのように(首を)切り揃えて商品化しました。理化学ガラスは溶出物がなく、耐熱性も十分ですから熱湯消毒ができるので雑菌が残らず、生物を飼っても衛生的なんですね。リカシツではワークショップも開いているのですが、前回は小エビと小魚のアクアリウム作りをして出来上がったものをお持ち帰りしていただきました。中学生の女の子がお母さんと一緒に参加してくださったり、楽しんでもらっています。

――これまで研究用途などでしか使われなかったものが、みなさんのアイデアで新しいアイテムとして生まれ変わるのは面白いですね。

猪野 他にもあります。たとえば本来は小型の分注器だったものが、あるお客さまから「かわいいからアロマを入れたらどう?」とご提案いただいたことからアロマ容器として扱うようになりました。よくある試験官も、これにハーブや塩を入れてキッチンに置けば、使いたい分だけ小出しで使える実用的なキッチン用品にもなるわけです。商品の多くは電子レンジやオーブンにも対応していますし、アイデア次第でどのようにも使えると思います。

――そもそもこのリカシツという場所自体が、お客さまの自由な発想に委ねられているような印象を受けますね。「どう使いますか? 素材は提供しますよ」といったスタンスと言うか。

猪野 理化学ガラスというのは、基本的にひとつの用途に特化して機能的に開発されてきたものです。それに対して一般のユーザーさんは「このビーカーだったら目盛りが付いているからドレッシングを作るのに便利」とか、「注ぎ口があるからそのまま食卓に出してもキレイ」とか、従来の常識をくつがえす柔軟な発想で楽しんでくださいます。リカシツはそうした自由なアイデアの交換を手助けできるような場所でありたいと思っています。

 

 

 

 

Interviewer: Koichiro Sato
Text: Takeshi Nagashima
Picture: Koichiro Sato

Data

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リカシツ

東京都江東区平野1-9-7 深田荘102
TEL:03-3641-8891
URL:www.rikashitsu.jp

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