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「売れている個店」として注目を集めている、苦楽園の「パーマネントエイジ」

お店自身には【色】や【ニオイ】が必要です。そしてそれが醸し出されるには、【時間】が必要です。オープンして10年以上が経過してようやくそういうものが醸し出されるようになりました。

January 6 2017 , Column

あまり話題にならないが、近年は個人経営の洋服店の倒産・廃業が相次いでいる。洋服小売店も大手企業に集約されつつある。90年代後半くらいまでなら、1店舗か2店舗しかないのに「名店」としてファッション雑誌で紹介されるショップが少なからずあった。今では大手のチェーン店、大手セレクトショップチェーン店、大手SPAブランドに集約されつつあり、寡占化が強まっている。好き嫌いは別としてそれが現在の洋服小売店の実態である。

そんな中、個店でありながら売上高の高さから話題を集めている店がある。兵庫県・苦楽園口にある「パーマネントエイジ」だ。

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阪急百貨店うめだ本店で1週間のポップアップショップを出店したところ、売上高1000万円を越えて、阪急うめだ10階での売上高記録を更新した実績がある。

林行雄社長がパーマネントエイジをオープンしたのは2000年のこと。今年で16年となり「いつの間にか、メーカーを経営したのと同じ年数が過ぎた」と振り返る。林社長はかつてイショナルというアパレルメーカーを経営しておられたが、2000年に倒産してしまった。そして小売店として再起した。

林社長は今年で67歳になられるが、ぼくが初めてお会いしたのは12年前の2004年ごろのことだった。当時ぼくは大阪の小さな編集プロダクションで雑誌の編集をやっていた。やっていたというか転職したばかりで雑誌編集の経験もなかったから見様見真似でなんとかこなしていたというのが正しい。

ぼくが担当したページに男性モデルとして林社長に登場していただいた。ぼくは担当者として初めて林社長と面識を得た。

その雑誌は発行部数も少ない単なるローカル誌だったが、林社長はそれをきっかけにファッション雑誌やブランドの広告などに登場されるようになり、そんな奇跡みたいなこともあるのだなあと傍から御活躍を眺めていた。

5年ほど前には業界誌の取材で伺った。当時すでに「売れている個店」として注目を集めていたからだ。

店舗の広さは約30坪。入口が狭くて奥行きが長い作りで、100坪を越える店舗が多い今の時代なら狭い。テイストはベーシックなカジュアルアイテムが多く、奇抜で斬新なデザインの洋服、雑貨はない。

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取り扱いブランドのラインナップもメンズでいえば「ナナミカ」「オアスロウ」「ザ・ノースフェイスパーブルレーベル」「バブアー」「ジョン・スメドレー」などポピュラーなものが多く、物珍しいラインナップではない。ではなぜそれほどまでに売れているのか。一つには林社長夫妻が大人向けファッション雑誌に頻繁に登場するというメディアミックス戦略が挙げられるだろう。

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しかし、メディアに頻繁に登場するショップが必ずしも売れているわけではない。メディアの寵児のようなショップが倒産・廃業することは決して珍しくない。メディアに登場することは存在を知ってもらうきっかけにはなるが、必ずしも売れるようになるとも限らない。

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林社長に好調の要因について伺うと、「自店以外に複数の販路があることが大きいと思っている。①直営のオンライン通販②百貨店でのポップアップショップ③オリジナル商品の卸売り、と自店も併せて4つの販路がある」との答えが返ってきた。

今でこそオンライン通販は当たり前だが、パーマネントエイジは2004年ごろから始めている。先見の明があったということになるが林社長は「実は知り合いに挑発されたことがきっかけで始めました(笑)」という。知り合いにその時「これからはネットの時代、ネット通販をやらないと化石になってしまう」と挑発され、「カチンときたので、勢いで『すぐにでもやってやる』と言い返して始めました。でも今から思うと、あの当時から始めていて本当に良かったと思います。2005年以降に始めたのでは遅すぎるでしょうし、2003年より前に始めていたら早すぎたでしょう。絶妙のタイミングで挑発されましたよ(笑)」だそうだ。

小売店の百貨店でのポップアップショップも今では珍しくないが、5年前に伺った際には相当珍しかった。小なりといえども独立した小売店が、同じ小売業である百貨店でポップアップショップを出店することは以前ならタブー視されていた。現在は阪急うめだ本店、伊勢丹新宿本店、松坂屋名古屋店、岩田屋の4百貨店でポップアップを開催するが、林社長は「スタッフが少ないからこれが限界。これ以上のポップアップは開催しない」という。

自社オリジナル製品は林社長がかつてアパレルメーカーを経営していたからこその取り組みだ。大手セレクトショップは利益率を追求するためにオリジナル製品比率を高めていることは広く知れ渡っているが、アパレル業界は業界インフラが過度に整っており、最低ロットさえクリアすれば小規模店舗でも今は簡単にオリジナル製品が作ることができる。メーカー出身の林社長はいち早くそれに取り組んでおり、今では他社店舗にも卸売りを行う。

自店舗のみにこだわらない多方面への販売方針が好調を支えているといえる。

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長年に渡ってアパレル業界を見ている林社長に今の業界についての思うところを聞いてみた。「成熟社会に突入して、商品のデザインとかブランド名だけでは売れなくなってきた。また作り手の思い込みとか過度な主観の押し付けも通用しなくなっている。お客様から共感を得るためには、その商品に客観性があり、理屈で説明できる何かが必要になっているように感じます」という。

それに加えて「最近のファッション業界は不振だから、それまでトンカツをナイフとフォークで食べていたスタイルに対して、『今度は箸で食べてはどうですか?もっとおいしくなりますよ』みたいな小手先の変化に終始している。それでは売れないのは当たり前で、トンカツそのものの味付けを変えるか、トンカツではない料理を出すか、という根本的な解決を探らないと売れ行きは回復しないと思います」と鋭く指摘する。

そして「低価格品か超高価格品かに消費は二極化しているといわれますが果たしてそうでしょうか?ユニクロの製品は確かに良いですが、全身ユニクロやタンス在庫すべてがユニクロで満足する人はそう多くないでしょう。じゃあ、たまには違うブランドを買おうということになって、いきなり何十万円もするようなスーパーブランドの洋服を買うでしょうか?それはありえません。だったら、ユニクロに数千円プラスして買える程度の中間価格帯が求められています。しかし、世間では中間価格帯は売れないといわれています。それは中間価格帯に需要がないのではなく、その需要に向けてぶつける弾に問題があるから売れないのではないでしょうか」と疑問を呈する。

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最後に「うちの商品はベーシックが多く、これをコピーしてもあまり効果がありません。なぜなら何の変哲もない洋服が出来上がるからです。こんな平凡な洋服を売るには、お店自身の【色】や【ニオイ】が必要です。そしてそれが醸し出されるには、【時間】が必要です。オープンして10年以上が経過してようやくそういうものが醸し出されるようになりました。派手な投資をせず地道にコツコツと続けることができたから今があると思います。目先のブームに右往左往せずに地道にコツコツと続けることが今の業界にも必要なのかもしれませんねえ」と締めくくられた。

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もう、そろそろ年齢的にも引退を考えることも増えたという林社長だが、その考え方・見方を次代にも引き継いでもらいたいと改めて思った。

 

 

Text: Mitsuhiro Minami
Picture: Koichiro Sato

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