アジアを拠点に世界一のブランドを目指す ストリートブランド “NERDUNIT”
“NERDUNIT” JAPAN CEO ー 松岡 那苗 (まつおかななえ)さん
ナードユニットは2011年にサンフランシスコでロナルド・チュウ(Ronald Chew)によって設立されたストリート系ブランドで、現在はマレーシアを中心にイタリア、イギリス、台湾など、述べ9カ国に展開しています。ミリタリースタイルを基調に、現代的でシンプルなモノトーンの色合いやデザインを組み合わせたスタイルが主体。
いまから日本で立ち上がるブランドのストーリーと展開についてお話をうかがってきました。
ナードユニットは2011年にサンフランシスコで、ロナルド・チュウ(Ronald Chew)により設立されたストリート系ブランドで、現在はマレーシアを中心にイタリア、イギリス、台湾など、述べ9カ国に展開しています。ミリタリースタイルを基調に、現代的でシンプルなモノトーンの色合いやデザインを組み合わせたスタイルが主体。
日本で立ち上げたばかりのブランドのストーリーと展開について、ナードユニットジャパン代表 松岡 那苗(まつおか ななえ)氏にお話をうかがってきました。
- 不勉強でスミマセン。ブランドについて概略を教えていただいていいですか?
松岡 ナードユニットはマレーシアに本社を置くストリートブランドです。現在、イギリス、ナイジェリア、イタリア含め10カ国30店舗に展開しておりまして、日本には2017年5月に初上陸しました。現在は日本においてはオンラインストアのみ展開をしています。10代後半から20代のミレニアル世代がターゲットです。
- ミレニアル世代がターゲットなんですね。今までのターゲット層と違いはありますか?特徴的なところとか、どういった戦略を考えていらっしゃるのでしょうか?
松岡 そうですね、デジタルネイティブのカスタマーに合わせた独自イベントを世界中で仕掛け、ファッションブランドという垣根を超え、ユニークで大規模なイベントやフォトジェニックさを合わせた展開を行っている点がナードユニットの特徴となっています。
- マレーシアに本社を置いている点がユニークですが
松岡 マレーシアはアジアの中心地として、生産も配送も円滑に行える点や、音楽・ファッションなどの急成長が目覚ましいこともあり、拠点としておいています。
➖ アジアのストリートブランドというと、これまでに他のブランドが追随していない分野なのではないでしょうか
松岡 おっしゃる通りですね。“アジア”という領域に注目した理由は、アジアのファッション市場の急成長にあります。アジアというと、一般的には先進国でデザインされた商品(作品)を“生産する国”という感覚で未だに捉えられているとおもうんですね。しかし、アジアではモードブランドやハイエンドファッションが勢力を拡大しています。そして、アジア国内でデザイナーが台頭し、様々なブランドが誕生しています。アジアはもはや、生産する国ではなく、先進的なデザインと生産との両方成し得る状態になっています。ファッション業界を世界的に見ると、日本はファッション4大都市の中で唯一アジアの国ですが、そうした状況も変わりつつあるのかなと感じています。
- なるほど。松岡さんは前職では世界的なハイブランドにお勤めだったとお伺いしました。どういった動機から“NERDUNIT”にうつられたんですか?
松岡 アジアのファッション台頭をリードする立場であり続けたいという思いから、アジアのファッションに常に興味を持っていたことが理由になります。自分は生まれも日本ですし、“アジア”という領域にとって、日本がかなり特殊な国だということも理解していて、アジアから日本を経由して世界に展開するブランドができたら。と考えていたことも理由となります。
- それにしてもモードのトップブランドから“ストリート系”ブランドへの転身はなかなか意外です。
松岡 “ストリート系”と呼ばれるファッションのユニーク性はハイブランドでは中々感じられない部分が多くあると思います。
― どういった点がユニークなのでしょう?
松岡 私自身が感じる“ストリートブランド”の定義というのがあって、ソフト面でいえば「メッセージ性」や「個性」が最も強く反映されるファッションであること。そしてハード面ではブランド力が強すぎるばかりに発生するオペレーションの問題点・製品の質の悪さといったところでしょうか。
メッセージ性やブランドへの崇拝意識が強いからこそ、カスタマーがあまり質にこだわりをもたないというのがストリートブランドの現状だと常に感じていました。
だからこそユニークな分野だなと思う反面、やはり日本に展開するのであれば、日本人が求める質を、ストリートブランドでも追求していきたいなと。
― ブランド力が強すぎるとは、具体的にどういうことですか?
松岡 例えば“ロゴ買い”という言葉があるように、このブランドが出す商品であれば、フーディであってもTシャツであっても、着心地は関係なく、そのブランドを背負いたいという形でストリートブランドを持つ人が多い印象を感じています。
― なるほど。着心地よりもヘビーデューティーといった素材感がアイデンティティになっているブランドもありますが?
松岡 そうですね。そういったブランドももちろんあります。ですが質の良しあしでストリートブランドを語る場合は、やはりブランド力の強さゆえに起こる質の悪さというものは無視できない状態ではないかと。そのような状況のなか、ハード面で不満を持っている日本のカスタマーが多い印象も同時に抱いていました。
― 収益性という意味では安い生地で製品を作られているブランドもあるということですね。
松岡 とあるストリートブランドは注文から配送まで5ヶ月以上かかることもあると聞いています…“NERDUNIT” は繊維生産の質が高いと言われるマレーシアでの生産、そして注文後スムーズに配送ができるオペレーションシステムをブランド全体で展開し、ストリートブランドで顧客満足度をあげる努力を行っています。そういう部分がしっかりしているのが“NERDUNIT” のいいところだと思います。
― “NERDUNIT” の特徴というのはどういう所になりますか?やはり製造に対するこだわりでしょうか?
松岡 “NERDUNIT” は、素材一つ一つにこだわりをもっています。綿であっても、様々な種類からそのアイテムにあったベストな素材を選んでいます。ですので、完成品が生産チームの思った以上のものでなかった場合は、販売前日であっても販売を中止することも日常茶飯事です。
- なるほど、それはハード面についてですね。ソフト面ではどうでしょうか?コンセプトとか?
松岡 そうですね、NERDUNITの名前には”No one ever really dies (真の意味で死ぬものはいない)”というブランドフィロソフィーが込められています。いわゆる「NERD」というスラングとは関係ありません。
“Fashion passes, but style remains the same(流行は色あせていく。スタイルだけが変わらないまま残り続ける)”とはココ・シャネルが放った言葉として有名ですが、NERDUNITも一人一人、自分自身のスタイルを持てるようにという思いを込めて、ブランドを作っています。
― NERDUNITの今後と、松岡さんご自身の今後についてお聞かせください
松岡 今年は、暗闇で買い物をする”SHOP IN THE DARK”というシークレットイベントを皮切りに、ラフォーレ原宿でのポップアップストア、AMAZON FASHION SHOWへの参加と、毎月大きいイベントを展開する予定になっています。
それは“アジア”のイメージを払拭する、世界へ浸透するブランドとして大規模にイベントを展開します。私自身としては“NERDUNIT” をきっかけに、アジアのブランドがより世界で注目されるような環境を作りたいと考えています。
またストリートファッションを通じて、様々な分野で活躍している人が一同に会すような「場」を提供したいと思っています。例えばアーティストさんやファッション関係者、スポーツ選手やミュージシャンなどが集まるような「場」です。

Processed with MOLDIV
ナードユニットの松岡さんからお話をうかがいました。日本での本格展開となる今年は、世界で行ってきたのと同じ手法=アンダーグラウンドカルチャーを絡ませながら、より生きたストリートブランドとして露出していくということですね。
これまでも世界でダンスイベント、DJとのコラボレーションを行ってきた実績がありますが、日本においてもクラブ、ストリート、様々なシチュエーションに合わせてイベントを展開するということです。最近は派手なイベントが少なくなっているファッション業界ですが、アジア最大級のクアラルンプール ファッションウィークへの参加や、 アジア一の船上クラブイベント “It’s the ship “とのコラボレーションなど手掛けてきたNERD UNITですので楽しみです。是非、イベントにはご招待いただきたいもんです(笑)。
ストリートシーンをアジアから盛り上げるという企業理念の通り、日本のファッションの業界も盛り上がりますようにっ!
Text: Koichiro Sato
Picture: Nerdunit
Data
