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パリで今キテる「お好み焼き」のお店はどこだ!

田淵寛子さん(OKOMUSU paris /オーナー)

パリのマレ地区。ファッション関係者に密かに人気のお好み焼き屋さん“OKOMUSU”。そのオーナー田淵寛子さんにインタビューをしてきました。なんでも答えますよ!というノリで延々2時間。どうしても書いてもらっては困るという○○の件以外は書きました。

February 13 2017 , Interview

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パリのマレ地区。大きくみんながマレって言ってるエリアは実はマレと北マレを包括している。実は区が違っていてコチラは3区の北マレというエリア。今パリのファッション関係者の間で密かに人気になっている店「OKOMUSU」。パリでお好み焼きと侮るなかれ、異国の地で食べるお好み焼きは想像を絶するおいしさ!

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店はパリの普通の店の佇まい。向かいのブティックは“eclectic”!パリらしいブティック巡りなら必ず寄る店でしょ?マレのオシャレどころをふらふら物色した後は是非“OKOMUSU”へ。お話をうかがったのは田淵寛子さん。ノリと勢いとパワー。すごい量の録音をいったいどうしたもんかと悩みました(笑)。結局、まとまった文章にしちゃう感じだと人柄が伝わらないなぁと、なるべくその時の雰囲気が伝わるようにしました。

 

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-    私はパリがこれで3度目なんですが、前に来たのはもう20年以上前になります。そのころから比べて日本料理の店はスゴク増えた印象です。

田淵:  そうですね、でも8割から9割方ニセモノです(笑)。それでもこのあたりの店はきちんとした店だという認知にはなってますよ。そうでない店もあるんですが(笑)。フランスの人は日本人の経営してる店かどうかはわかってないでしょうね。そんなに問題にしていない人もいたりするので。中国の人は日本人かと聞かれると、たいてい「そうだ」っていうんですよ(笑)。まぁ、それ(日本の店)らしくそれっぽく作ってる店は大抵中国人の経営している店です。

-    それは、あんまりいい状況じゃないように思いますね(笑)。

田淵:  日本人の店は中国人経営の日本料理店にくらべて押し出しが弱いですね(笑)。正直、押しだすのもなぁってのもありますし…(苦笑)。

ここらだけにも限らずですけどねぇ。向こうの通りの日本料理店「〇〇〇」はフランス人経営の店です。すっごい高いですよ!

-    まぁ、フランスもレストランは押しなべて高いですよね。東京ほどでもないんでしょうけど。日本から来られてやってらっしゃる日本人経営者の方たちとは繋がりとかはあるんですか?

田淵:  日本人のコミュニティーは日本料理店だけじゃなくってフレンチのお店も含めて繋がってます。オペラあたりの30年選手とは繋がりはまったくないですね。あの辺りの店は「クオリティを追求しなくても日本人経営だから」でお客はくるんで(苦笑)。

-    そうなんですか。昔から多いですもんね。ラーメン屋さんとか。昨日、バスチーユの周りを歩いたら日本料理屋さんばかりでしたが、あの辺りにも日本人がかたまって出店してたりするんですかね?

田淵:  バスチーユには日本人はいないです。あれは全部中国人経営ですね。

-    もう情報は完璧ですね(笑)。

田淵:  どこでどんな店が出るかは、たいてい情報が入るので知らないってことはないですね。

-    それだけ日本料理の人気が高いってことですね。ニューヨークでもそうでした。

田淵:  本っ当-に、日本料理の需要は高まっていますよ。ヘルシーだと思われてるから。

-    今、そのコミュニティーで日本人の方の繋がりって何名くらいなんですか?

田淵:  50人から60人くらいですかね。ファッション業界の人も入りますけど、パタンナーだったりメイクだったり、パリにいる40歳以下のコミュニティーですね。

 

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-    鉄板焼きとかお好み焼きはフランス人が初めてって人がいきなりここに来られたりしますか?

田淵:  来ますよー。(鉄板焼きとかお好み焼きを)知ってる人のほうが少ないですよ。むしろ日本でお好み焼き屋さんに行ったことがある人のほうが少ないでしょうね。お客様の8割方はフランス人で初めての方が多いです。最近は常連さんも増えてきました。一度食べると定期的に来てくれてます。

-    鉄板焼きだとアメリカでやってるような玉葱で火山みたいなものを作って火をつけたりっていうのを期待したりして来られるんでしょうかね?

田淵:  いやいや、そんな人いないですよ(笑)。お好み焼き自体知らないからそれ自体がパフォーマンスですね。尤も、有名になるんならパフォーマンスがいるのかも知れないですねぇ(笑)。

-    お好み焼き屋さん自体パリでは珍しいですよね。ほかにも店は何軒かあるんですか?

田淵:  パリにはお好み焼き屋さんは4軒あってですねぇ・・・、フランス人経営のモノが1軒、在日韓国人でこちらに来られた方がやってる店で1軒、日本人のやってる広島風お好み焼きのお店で1軒ってとこですね。ウチのが断然ウマイですよ!(笑)。

-    この場所は日本でのセオリーならお好み焼き屋さんがある場所ではない感じですよね?なんでココでなんでしょう?

田淵:  この場所(北マレ)が好きだからです!

-    おしゃれな街ですよね

田淵:  ファッション系の人は流行に敏感で、そういう人がココを探し出してくれて、広めてくれたところはありますねぇ。

-    日本でやるのと違って、フランス仕様とか「違い」は作ってたりしますか?

田淵:  いいえ、やってないですね(笑)。正統派お好み焼きですっ(笑)。まぁ、それでもグルテンフリーとベジタリアンの対応はしてますよ。要求が多いから。あと、ムスリムの方相手だと気持ちだけハラールとかですかね。2枚鉄板があるんですが、一枚の方は豚肉を乗せない仕様で使ってます。厳密にはハラール認証なんて取れないんですが、そこまで厳しくいう人は最初っから来ないですね(笑)

-    さすがパリですね。いろんな人が居ますもんね。逆にあまり来ない人たちっていたりするんですか?

田淵:  そうなんでしょうね?国籍までわからないですけど、いわゆるアメリカ人観光客風の黒人の方っていう感じのお客さんは少ないですかね。黒人の方でもファッション関係で、すっごいおしゃれな人みたいな方は来られたりしてるんで。

-    日本ではまだ出てきませんが、グルテンフリーのお客さんはは多いんですか?

田淵:  案外多いですよ!あと、ベジタリアンは結構多いですね。日に数人はいますかね。グルテンは週に数人くらいかなぁ。

-    今、パリで食べ物で人気が出てきてるのってありますか?

田淵:  ウチです!(笑)。ウチは最近「ヤバイ」と思いますよ。ここ半年ぐらいズーっと人気が出てきてます!大体、20時くらいからですかね、いっぱいになりますよ!なぜだかわかんないですけど、火曜日なんか大爆発とか「あれっ?」てくらい静かな日もあったりするんですが、どうなるかわからないくらい!

-    お好み焼きをわかってもらうまで大変だったんではないですか?

田淵:  そうですね、でも、文化を伝えるとかいう気負いもないし、むしろ気負いがないからやれたと思います。ハードルだと思うとシンドイですよね。そういう話だとパリでの生活なんて「ほぼほぼ」ハードルなんで(笑)。

-    最初は大変だったんですか?

田淵:  メニューもなかったですし、何がウケるかもわからないまま手さぐりでやってましたよ。今は感触的に掴めた感じはあります。味付けとか、具材も前菜やサイドメニューも。

-    「おむすび」とかわかりますね。関西人はお好み食べてごはんもいけますからね(笑)。「キムチ」はどうなんですか?

田淵:  大阪だとお店においてあったりしますしね。別段日本食にこだわってるわけでもないし。案外ピリッとしたもの好きみたいですよ?まぁ、それでも管理するのが楽なものになりますね。漬物だと、キャベツマリネはありますよ。

-    お好み焼きだとビールの気分ですが、パリの方はどういう飲み物を合わせるんでしょうね?

田淵:  ビールが一番出るけど、人それぞれですね。ワインで行く人もいるし。

-    常連さんになってくると、頼み方で違いは出てきます?

田淵:  梅酒とか頼まれるようになりますね!梅酒は人気があります。私も最初は、フランス人だから「わざわざ」みんなと違うもの頼むんだろうとは思ってたんですがパターンはないですね。「こんなもんだろう」っていうのがないです。だから臨機応変にやってます、その都度その都度。

-    お店の運営でトラブルとかはないですか?

田淵:  うちは問題は起こってないほうだと思います。警察呼ばれたり、アパルトマンの上の人と揉めたりとかはないです。タバコは屋外なんで、外に出たお客さんが喋るのがうるさいとかよく聞く話なんですが、うちは一度もないです。

-    トラブルを起こさない秘訣は中でやるってことですか

田淵:  夏は開けてますけどね(笑)。

 

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-    店構えは、いかにもお好み焼きという風ではないですよね。

田淵:  一応、お好み焼きの提灯は日本から持って来ていますけど、つけてないですね(笑)。

-    皆さんで着られているTシャツは作られたんですか?

田淵:  今制服のように使ってるTシャツも最初からはなくて。元々は好きなカッコで働いてんですけど、3軒隣のブティックのおっちゃん(フランス人)が一枚勝手に作って持ってきたんですよね。で、良かったんで発注したんです(笑)。今はコレット(!)でも売ってますよー!40€位だったと思いますけど。日本にはどれくらい行ってるんだろー、ツモリチサトの人が4枚、あと、どっかのブランド系の人がもってます。インスタでハッシュタグ付けてあげてくれてるんで探してみてください(笑)。

-    日本の料理とか日本の文化という感じの店ではないですよね。

田淵:  わざとらしい感じはイヤでしょ?東京に普通にあるオシャレな感じくらいでしたかったんです。このあたりの場所は東京でいえば西麻布くらいの立地ですよね。レストランがかたまってないんですよ。イメージは代官山、中目黒くらいゆったりした環境なんで、街になじんだ感じのちょっとオシャレ?な店がいいなと。

-    デザインも自分でやられたんですか?

田淵:  いやいや、お好み焼きのお店を始めてやるんで設計部分では設計の人にお願いはしました(笑)。

-    お店は夜だけなんですね?関西のお好み焼き屋さんならお昼も開いてる感覚ですよね?
田淵:  本当は昼間もやりたいんですヨー。以前は昼間もひとりで開けてました!頑張って!でも、さすがにひとりでやってると死にそうになって(笑)。

-    そりゃシンドイですヨ!一人でやってたら!それにしても、お好み焼き屋さんをやるのが初めてで、このクオリティーっていうのはやっぱり、関西人だからこそできるんですかね?

田淵:  おいしい基準が高いかも知れへん!私がたこ焼きをやらない理由はクオリティーを担保できないから。自分の中で納得できないんで。あと、たこ焼きはラードでやるでしょ?銅板なんでラードじゃないとダメなんです!。それさえできればヤル!でももう一人職人がいるなー。

-    小腹がすいた時はタコヤキですよねー。パリにはたこ焼き屋さんはあるんですかね?

田淵:  ありましたよ?たしか、6個で9€くらいでした。オペラ座の方の店で。それもイヤなんですよ。そういうのは。それやったらお好み専門ンのほうがいいです。あ、でも広島で鉄板たこ焼きの作り方を教えてもらったんですよ!

-    お店をするのに今のカタチは最初からイメージがあったんですか?

田淵:  最初は「萌え系(!)」のお好み焼きにしようと思ってたんですけどね(笑)、でもせっかくおいしいのに萌え系にしたら、そっち系の人しか来なくなるんじゃないかって(笑)。

-    ですよねー。それはキワモノですよ。日本でやっても(笑)。正統派じゃないですか、こんなにふんわりしてて。東京だとなかなか食べられないですねこういう感じのお好み焼きは。下手するとメリケン粉でカッチカチですもん(笑)。

田淵:  山芋なしなんですよ。まえにパリのビストロのシェフ(日本人)が「山芋入ってると違うねー」とかいうんで、「はいってないよー!」っていったらびっくりしてました(笑)。私がこんな人なんで、料理はあまり期待してなかったって言われるんですけど「おいしい」って皆さんいいますよ(笑)。

-    割と材料に関しては日本から持ってこないとできないもんじゃないんですか?

田淵:  いや、材料に日本産のモノは・・・そんなにないかな・・・、オタフクソースと紅ショウガとダシぐらいですかね。鰹節はベトナム産でイギリスで加工したヤツですし、マヨネーズはタイ産です。でもキューピーですよ(笑)。

-    お好み焼き出すとき「これでどうだっ」って感じですか?

田淵: 「私、これがオイシイ思うねんけどどうですかねぇ?」って感じです。ずっと食べつけてるモンで、人に強制するつもりもないですねェ。

-    お好み焼きが外国人にウケると思ったのは何でですかね?

田淵:  昔、日本でBBQみたいなパーティーしたことがあって、その時に人数捌ける料理ってなんやねん?ってなって、でお好み焼きを作ったんですね。そしたら外国人に案外ウケた。ウケすぎた!そのあとお変わりヨコセ!みたいなことになって粉作ってキャベツ刻んで食べたかったら勝手に焼きーやってぐらい!それですね。ウケすぎてパリまで来ました(笑)。

 

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田淵:  この石を積んであるような壁は1600年代のモノなんだそうです。この建物が1600年代に立った時のままだそうで、前の店からそのままにしてあります。こういうのいいでしょ?

-    イイですね!日本だとこうはできないですからねー。

-    それにしても、日本料理の「パチモン」が沢山あるくらい「日本料理」の需要があるのに、なんで日本人シェフは来ないんでしょうね?

田淵:  営業権っていうのがあって、簡単にお店を出せないようになっていますしねパリは。また、設計や工事やスケジュール通り進まないって話が広まってるんで、うまくいくはずないってないと判断されるんじゃないですか?平気で1年くらいオープンが遅れますから(笑)。ウチは営業権は買ってます。前の店子さんから。店が増えないシステムなんですよ。

-    そうなんですよね。ソレなんです。繁華街だと東京ならビル丸ごと飲食店じゃないですか?だからそういう商業だけの街にならないんですよね。絶対上層階には住んでる人が居るってことになりますよね。ソレってすごいことだと思うんですよ。住んでる人が居ない街っておかしいんじゃないかって思うようになりました。最近。

-    それにしても言葉を話せずによくここまでできましたね?

田淵:  JETROとか協力一切無しで自力でOPENしました!アドバイスは、こちらでにレストランやってる人にアドバイザーになってもらいましたけど。全くフランス語喋れなくて来たので、役所に行くのも大変でした!

 

 

-    NYで一時「スシポリス」がきちんとした日本食の店を認定しようって話があったんですが、パリではどうですか?

田淵:  ないですよ!だってできないでしょ?それでも「寿司」を広めてくれたのもそういう人たちだし、なんかお互いメリットがあるか?って話ですよね。私たちは本物をちゃんと提供していくというだけです(笑)。

-    お好み焼き日本料理自体は目新しくないような気がしますけど、ここに来る人たちはで何をおもしろがってるんでしょう?

田淵:  全部ですね。目の前で鉄板で調理するっていうのはヨーロッパ的にはエンターテイメントみたいです。味付けに関して言えばソースの味はけっこう好きみたいですよ?食感がどうかと言われている鰹節なんかでも、ふりかけてあげると「動いてるっ!」って喜んでますし(笑)。

-    日本のラーメンとかでもそうなんですが、「お汁もの」の温度は外国人の舌に熱いらしいですが、お好み焼きではどうですか?

田淵:  「熱いから気を付けてねっ!」て言ってます(笑)。こればっかりはどうしようもないですよね(笑)。

-    日本から持ってきたらウケるんじゃないかってモノありますか?

田淵:  天ぷら屋さんはないですね。ホンモノの職人さんが目の前であげる「天ぷら」はないです。きちんと炭で焼く鰻屋さんはあるけど。

-    天ぷらね。なんか一番にパリにありそうなモンですけどね?(笑)。

-    日本には帰られてますか?

田淵:  そうですね、日本にはチョイチョイ帰りますヨ(笑)。完全日本人なんで全然「パリ」ズレした風にならないです(笑)。コチラにはなれましたが、日本人だという意識がずっとあります。日本人であることをを忘れたことが一度もないです。今は朝食は珈琲だけだったりしますが(笑)。

 

 

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インタビューといいながら話はあっちへこっちへと飛び、さらに取り留めもなく話は続き、あたりはとっぷりと夜。お礼を言ってお店を出るときりっと冷えた空気。でも、パリの街を歩くのは楽しい。日本で15分歩くのは結構しんどかったりしますが、パリだと愉しい15分。二駅分ぐらいは歩けちゃいます。昼間は白かった建物は夜になるとナトリウム灯の黄色い光に妖しく照らされその上部は夜の闇、昼間と違った表情。関西弁を話しながらお好み焼きをいただき、表に出ると夜のパリ!ポケットに手を突っ込んで石畳をコツコツ足音を響かせながら歩く。

 

Text: Koichiro Sato
Picture: Koichiro Sato

Data

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OKOMUSU

11 rue Charlot - 75003 Paris
Tel : 01 57 40 97 27
URL:okomusu.com

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