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澁澤龍彦の「驚異の部屋」にインスパイアされた西山景子さんの世界観

西山景子さん《デザイナー)

ロンドン在住のデザイナーの西山景子さん。澁澤龍彦の「驚異の部屋」にインスパイアされた独自の世界観をもったプリントが印象的なクリエイターです。ロンドンでの活動と今後について少しお話を聞いてきました。

January 19 2017 , Interview

ハガーストン のリージェンツ運河沿いにあるカフェ。ロンドン在住のデザイナー西山景子さんとは10:30の待ち合わせ。ハガーストンはロンドン北東部の街、ショーディッチから地上線で北へ二駅。車でも10分といったところ。再開発が進むイーストロンドンで、その中心のショーディッチの家賃高騰から移転してきた人クリエイターが多いエリアにもなっていますが、そういった状況からココもさらに開発が掛かっている状況です。観光地ではないので日本人は当然いないエリアですが行ってみるとエネルギーを感じる街でもあります。

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取材の申し込みをしたタイミングで西山さんはスタジオをハガーストンに引越しされたので、事務所がまだ片付けできていないのでということで外でのインタビューとなりました。このエリアも開発が進み古い倉庫などに対して、新しいマンションが凄いコントラストを作っています。

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キングストンロードの橋からリージェンツ運河を見たところ。左手はまだ再開発されていない倉庫。アーティストやクリエイターが多く活動しています。私たちがお話をしたのは右手の川沿いの道をちょっと奥へ行ったあたり。再開発されてマンションが立ち並ぶエリアになっています。ハガーストンは改めてリポート記事を作りますね。では、本編!

 

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-  日本の大学でも勉強されてのロンドン留学ですよね?日本の大学とロンドンではどのような違いがありましたか?

西山  ロンドン芸術大学の中にある2つの大学で学びました。セントラルセントマーチンズのグラディエイトディプロマコースで1年学び、その後、ロンドンカレッジオブファッションの大学院で1年半(約二年)学びました。

大学卒業もしくは就職してからの対象のコースで、技術的な専門知識あるという前提で授業は進行されていました。毎週あるチュートリアルの中でコンセプトをどう掘り下げて、デザインに起こしたか発表し、教授とディスカッションする形式で進められます。最後の卒業製作は卒業論文と同時進行に行われ、どれだけ研究してどうデザインそして全体のコレクションに掘り起こしたかが求められます。私はこの大学で勉強しなおすからには歴史や文化背景も考えながら、意味を持った服を作りたいと思っていたので最適な場所でした。

-  なるほど。かなり背景を深堀していくわけですね。

西山  卒制では風景庭園をインスパイアして洋服を制作しました。現在の服作りの原点はそこにあります。フランス式の公園は幾何学的な造りになっていますが、イギリスのモノは少し様子が違っていますよね。イギリス風景式庭園というんですが自然美を目指して遠近法を駆使した風景画をまるで3Dで蘇らせたような庭園をつくっています。

私のプリントの絵も実は遠近法を駆使しています。平面的に図案を考えるプリントでは珍しい事だとは思うのですが絵画的に作っています。例えばモデルさんのスタイルングではタイツからドレス、コートトータルコーディネイトで表現したものを下から上へ風景画を見ているように遠近感がついています。もうひとつ、実はひとパーツごとに違った絵柄を用意していて生地を変えています。一つの布地の上に同じ柄が並んだ一反からなるプリントではありません。

-   シーズン毎に絵を描いていますよね?それじゃすごい仕事量ですね。モチーフとかは公園とか図鑑から持ってくるような感じでしょうか?

西山  根底には別のインスピレーションがあって、それは、16世紀から18世紀にかけてイギリスの貴族を頭に世界中から花を輸入して自分達の土地で植え替える為に品種改良したりしています。そうした資料や70000ある標本が自然史博物館やキューガーデン(植物園)に残っています。それがすごく面白くて。日本にいるときも図書館にこもって掘り下げていく作業はとても好きでしたが、ロンドンの自然史博物館の中にある図書館に何千とある古い貴重な資料を発見する度にときめいて、無我夢中で調べました。

その品種改良の研究資料からインスピレーションを得て、プリントの花たちも組み替えたオリジナルの植物たちに品種改良して書き換えました。向日葵のような花、南国風の花、色々な花を組み合わせて描いています。椿と菖蒲とか混ざって描かれているものもあります。牡丹の中がスイートピ-のような花だったりしています。

-   和風でも洋風でもなくオリジナルなんですね?

西山  南国と日本を敢えて混ぜながら独特な色遣いで、トロピカルともオリエンタルともつかないような感じにしています。

服の中でレイヤーがあって、公園が重なって行くイメージです。プリントのデザインは様々な花の資料を調べて、コラージュしたものを新たに描き直しているので大変でした。

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=   ブランドのコンセプトはどういったものになるんですか?

西山  コンセプトは『キャビネット・オブ・キュリオシティー(驚異の部屋)』です。

-   澁澤龍彦ですか?

西山  澁澤龍彦さんの本には本当に興味深く、何冊かもっていて、研究の資料の一部になっています。最初の経緯に影響を受けていると思います。

-   そうなんですか?澁澤さんの持っているイメージとは違っているんですが、デカダンとかいわゆる退廃美術に近いですものね。そう聞いて西山さんの作品を見ると違って見えてみますね(笑)。

西山  大丈夫です(笑)。こういうと少し病んでいるような感じですが、耽美やシュールレアリズムといった奇妙な絵画や文学が好きです。キキ・スミス(Kiki Smith)さんやフランシス・ベーコン(Francis Bacon)さん、ジョージア・オキーフ(georgia o’keeffe)さん には傾倒しました。

-   澁澤好きならロンドンではなくフランスに行きそうなもんですけど(笑)

西山  イギリスの文化には開拓して収集が得意とする文化だと思います。ヴィクトリアアートアルバート美術館には沢山の国々から持って来た洋服やアクセサリー、彫刻や建物の装飾部分、食器など、どこから持ってきたかわからないような感じのものが所蔵されています。客観的にみると、奇妙さやイギリスの植民地主義を思わせる、皮肉的な感じにも私に映ります。そういった、奇妙さや皮肉さをも表現したいとおもっています。

ブランドとしては、最終的に“キャビネットオブキュリーシティー 驚異の部屋”を衣食住ライフスタイルを網羅したプリントで、空間を表現できたらと思っています。

-   なるほど。西山さんはインテリアにも興味をお持ちですか?現在のおうちもかなり凝ったりしてるのですか?

西山  まだ、自分の生活までゆとりのある状態ではないので、すぐに移れるように今のイギリスの家はあまり物を置かないようにしています。日本の実家は好きなスペースを作って、飾っています。ロンドンのスタジオや部屋も小さなコーナースペースがある場所に、ヴィンテージマーケットで見つけて来た小物や友人に貰った小物を自分のイラストや好きなイメージ画と一緒に飾っています。まだまだです(笑)。

-   ブランドの世界観の集大成がショップだと思います。ショップを作れるとしたら、どこに出したいですか?

西山  日本人として日本にも作りたい希望もありますが、いつかは最初のブランドの原点となったロンドンにつくってみたいです。この辺のあたりがイメージに近いです。この辺のライフスタイル感は、郊外というわけではなく、都心部というわけでもなく、ちょうど落ち着ける心地の良い感じの場所です。また、クリエイターが多く、みんなこだわりのある生活をしているので面白いと思います。

 

-   現在の顧客層というのは?

西山  ブランド的にはどうしてもプリントの生地をオリジナルで興してるので、T シャツは1万2千円からコートとなると8万10万くらいになっています。ですので、プリントやストーリー性に価値に重きを置いてくださる、人より少し変わった、珍しいものを着たいと思ってくださる人に提供していきたいと考えています。

-   そうですね、オリジナルのプリント生地を作ってというのはなかなかコストがかかりそうですね。服をイメージする際に、ターゲットはどのくらいの年齢の女性でイメージされているんでしょう?

西山  あまり意識してはいないのですが28歳から上の方をイメージしています。私にとっても28歳が分岐点だったような気がします。一般的に、結婚だったり、ちょっと会社でも経験値が上がって、でも、自分はこれでいいのだろうかともがき、自分とはなにかを考え始めるころではないでしょうか?私自身は結婚していないのですが(笑)。

-   今後もロンドンで活動していこうとお考えですか?

西山  ビザがある限り、ロンドンで働いていきたい希望はあります。ロンドンと東京を行き来して、ビジネスを展開していくのが目標です。日本のハンカチのブランドとコラボレーションさせていただき、2月販売(2016年)されました。東京駅の『KITTE』や『東急銀座』にも置かれているようです。

 

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-   デザイナーとしてご自身のクリエイションがどのように世の中に出ていくようなイメージでしょうか?当然クリエイションは発表し続けるものだと思いますが、今一番重要な媒体は何だと考えていらっしゃいますか?

西山  デザイナーとしてはインスタが一番大切に感じます。もう、大切というか見逃せない状況になってますね。ブロガーさんが注目しているブランドの記事だとか、毎日のコーディネートとか。いろいろな方が見ていますから、見ないわけにはいきません。

-   時代を感じますね。ブロガーの意見はそんなに強いですか?

西山  日本以外では当たり前に強いですよ。

—   やはりファッションブロガーですか。

西山  ファッション以外でもライフスタイル系のブロガーも強いです。

西山  若手のデザイナーにとっては経費も掛からず、手間もかからずなんで。どうにかして取り上げて欲しいと思っていますし、繋がりたいと考えていますね。

-   ブロガーさんからコンタクトがあったりするんですか?

西山  私の場合、最初のきっかけは展示会でブロガーさんからの『いいね』をいただいてからですね。凄いフォロワー数を持っていらっしゃる方なのに好意的に迎えてくれたんで嬉しかったですね。

-   日本ではタレントがそういった役を担っている感じですが?

西山  こちらではブロガーさんが『おいしい店』や『おしゃれなカフェ』紹介しつつですかね、世間的にはスタイリストではあるんですが。

-   ここらでも日本は世界とちょっと違う感じですね。経済的な規模感とか発信力や影響力が全世界規模ですもんね。

西山  最初、スージー・バブル(スージー・ロウ Susie Lau)が私の卒コレに来てもらって、紹介していただきました。すごく反響がありましたし、その影響もすごいものががありました。

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-   ブランドの経営としては売れるものを作っていかなければならないということと、クリエイターとして自分のインスピレーションに従って作っていきたいジレンマはあると思うんですが。

西山  流行に対して私のテイストが(マーケットの)枠にはまっていない部分に関しては、アーティストとして貫きたい所はあります。でも、仕事として流行からは目はそらせないのも事実ですが、売らんが為にそこを曲げるつもりはないです。したい事ばかりはできるわけではないのも、よくわかってるつもりですが。

-   したいこととしなければならないこととを、分けて考えていかないといけないですね。今は販売に関しても店舗じゃなくてもいいわけですし、インターネットではマーケットは世界中をターゲットにしますしね。

西山  世の中に対しては自分の一番大切にしているもの、核心になっているものが見えるようにしたいです。アート的な部分を残していきながら。

-   インターネットが世界にたいして発信できるようにしてくれたのは本当に革新です。それ以前と以後では全く違いますよね。これから西山さんのクリエイションが驚異の部屋として完成していくのをインターネットで拝見しますね。

 

 

Text: Koichiro Sato
Picture: Koichiro Sato

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