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無機的でありながら、有機的な優しさをあわせ持ったニュートラルな素材。

株式会社アボード 代表取締役 吉田 剛 さん

目黒の“abode”さんは、ライフスタイルにアクセントを付け、感性を心地よく刺激する製品をつくる小さな家具屋さんです。
無機質でありながら有機的な優しさを持った素材「フェルト」。そのやさしく柔らかな風合いを維持しながら硬度をもった素材「feelt」。
そのニュートラルな質感は現代のニューマテリアルとなりうる可能性を秘めています。今回はその“feelt”の生みの親、吉田さんへのインタビューです。

May 2 2016 , Interview

00feelt

-   “feelt”の展示はちょっと衝撃的でしたね。

吉田  ありがとうございます。

-   お一人でやられていると伺いましたが、デザインから営業まで全部やってらっしゃるんですか?

吉田  株式会社アボードは一人でやっています。もともと家具のメーカーにいたんですが自分で何かやってみたいと思い独立しました。家具作りは会社に入って現場で学びました。企画から商品開発それから営業までやらせていただいたんですね。今はデザインに関してはフリーランスのデザイナーと組んで進めるようにしています。

-   家具を一人でやるのはなかなか大変そうですね。

吉田 そうですね(笑)。家具は量産をやるのはリスクが高いと思います。在庫とかスペースの問題もありますし、すぐにお金にならない部分もありますね。ただ、木工メーカーにいたのが強かったと思います。独立当初は前にいた工場や提携工場も使わせていただけました。

 

01feelt interior

-   そんななかで“feelt”はちょっとインパクトがありましたね!

吉田   家具のカタチになってからですね。椅子はいつもびっくりされます。激しく興味を持ってもらえますね。今までは素通りされていたんですよ(笑)。

-    そうですよね!まず、「座れるんですか?」ですよね

吉田  そうですね。フェルトでできた椅子ということでディスプレイぐらいに思われるんでしょうけど。しっかり座れますからね(笑)。

柔らかいはずのものが硬いというのは触られてみなさんびっくりされます。でも表面はフェルトのそのままの感触が残ってますからね。すごく面白い素材だと思っています。フェルト自体はポリエステルでできているんですが、低融点のモノと高融点のモノを混ぜて熱をかけながらプレスするんですね。すると、低融点のモノは溶けて固まりながら高融点のモノはそのまま残ってこのような素材になるんです。

02feelt chair

03feelt chair detail

吉田   今、“feelt”の厚みは10mmなんですが、1mmだけ残してV字にカットしてやれば直角に曲げてやることができます。鋭利な物、例えばカッターででも切ろうとしない限り、素手では引きちぎることはできません。ポリエステルの繊維が絡み合っていて、かなり強いんです。Rも作ることが可能です。今までにない素材感と機能性のモノになっていると思います。

-   どういったきっかけでこの素材は生まれたんでしょうか?

吉田  元々素材に興味がありました。ファニチャーレーベルのabode*では、デニムの裁断クズを粉砕して、そこにポリプロピレンを混ぜて、ホットプレスしてボードを作り、そのボードを使用して家具を作りました。新素材に対してアンテナを張っていたところに、デザイナーから今回のフェルト素材の提案があり、アボードのオリジナル素材として展開しました。

-   椅子の展示はプレゼンとしては大成功でしたね。椅子ができるんであれば、どんなもんでもできるんじゃないかと思ってしまいます。

吉田  そうですね。椅子以外の商品では小物や雑貨が多いです。その中では加工性を生かした商品が多いですね。四角い形をしたボウルはジョイント部がコーナーになるように作ってあり組んだ後はつなぎ目はほぼわからないようになります。また出隅側にカットした面が出る面白い形になりました。

03feelt goods

-   一枚の板状のものがこのような形になるのはちょっとした驚きですね。ジョイント部分が可動するように作れ、強度を保っているのも、このようなデザインを可能にしてますね。見た目には凄く弱そうなのに。それに、これはすべて切る作業だけでできていますね。

吉田  実は木よりも加工性がいいかもしれません。カッターで切ることができますし彫刻のようなことも可能です。軽いということも魅力ですね。そういうメリットを生かして、ジョイントしてつなげて拡張することができるパーティションも制作しています。今までのモノで縦に高くすることができるのは今までなかったと思いますよ。横には広げていくことができるものは今までたくさんありましたけど。

-   なるほど、そうですね。軽さというのはそんなことも可能にしますね。

吉田  はめ込みだけでつなげられて、金具がいらないというのは画期的です。木工ではジョイント部分はちょうどぴったりに作らないとはまらないもんですが、“feelt”は伸縮性があるので0.5mmほど小さくしておくとガッチリ極まります。そうした性能が椅子の制作を可能にしています。

05feelt interview

-   これからどんなものを作っていくか楽しみですね。“feelt”はほかにもどんな特性があるのでしょうか?

吉田  そうですね。まず一つにはビスが利くというのはあります。見ていただいたものは切る・曲げるで構成されていますがそれだけではなく、ほかの商品ではマグネットなどを裏面からビスで固定しています。あと、屋外の使用でも退色・変色しません。また吸湿性がよく、さらには吸い込んだ後で変形しません。そういう特性を生かしてバスマットは作りました。干せば乾きますし。

-   では、屋上やベランダでも使用可能ですか?

吉田  それは難しいですね。水を吸った後は十分に乾かさないとカビちゃうんです。床面に置いたままだと乾かないんですね。

-   なるほど(笑)

吉田  feeltは3×6版で製造しています。ホットプレスの機械に合わせているのでこれ以上の大判は作れないんですね。材料代は木材に比べるとやや高いくらいなんですが、10mm厚を型で抜くことができるので、加工賃は木材より安くできます。抜き以外のV字カットや接着などの加工は木工所で行っています。

- 既存の工場、技術で製作が可能ということなんですね。是非、“independ”ともコラボレーションしましょう(笑)。本日はありがとうございました。

 

 

 

 

Text: Koichiro Sato
Picture: Koichiro Sato

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feelt

feeltは、硬質フェルトを使用したプロダクトレーベルです。
硬質フェルトは、フェルトそのままの素材感を保ちつつ、触ると木のように硬いとてもユニークな素材です。
芯材がないのでぶつかっても安全で、ひきずっても床に傷がつきにくいのが特徴です。
硬質フェルトの原料になるポリエステルは、PETボトル等の再生繊維を混合しています。
地球環境を考慮したリサイクルに貢献する商品です。

URL:www.feelt.jp

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株式会社アボード

洗練されたデザインと機能性を追求するファニチャーレーベル、abode*。
英語で「住居」を意味する通り、人の生活の基本となる住空間に主軸を置いたプロダクトを展開する。
日々食事をし、大切な人と過ごし、身体を休める場が、その人自身をかたち作っているとも言える。
目指すのはライフスタイルにアクセントを付け、感性を心地よく刺激する製品。
優れた品質を求めた結果、すべての製品はmade in Japanである。

URL:www.abode.co.jp

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