ロンドン北部「ハガーストン」で電車を降りて、リージェント運河沿いの再開発を見てみる。
ロンドンに観光に行くなら、少し足を延ばしてハガーストンあたりを見てみるのはどうでしょう?シティやショーディッチにはないリアルな生活と、住民が直面している再開発が見えてきます。
観光客が誰も行かないであろうシリーズ(笑)。建築業関係者あるいは土木関係者、それか建築学生でもいくかいかないか?か。というようなハガーストン。私もインタビューの場所がここでなければ素通りする街です。たくさん撮った写真を纏めて調べてみると結構面白い!ので記事にしました。
ハガーストンの駅右奥に広がる公園はストーンブリッジガーデンズ(Stonebridge Gardens)。もう本当に何もない駅で超殺風景(笑)。でも三輪トラックのコーヒー屋さんが店を出していてこれがまた結構ウマイ!日本の軽自動車よりコンパクトにできています。こういう感じかわいいなぁ…。
場所はショーディッチの北へ地上線で二駅ほど。ショーディッチの家賃高騰のため立ち退いたアーティストやクリエイターが次に目指した街でありながら、あっという間に再開発地域になり彼らはさらに北へという流れです。
改札の前のリーストリート(Lee St)。ホントに何もないように見えます。なかなか念のいった殺風景さ。高架の古いレンガに対比して新しいビルがモダンです。結局のところ日本の新しい街並みを見て伝統がないだのなんやかんや言われるわけですが、イギリスでも新しいものを立てればこんなもんだと(笑)。ここハガーストンに関しては全部再開発です。
で、その再開発のビルにあるコーヒー屋さん「SHED」。こちらは写真のスタジオ、プロダクト、コーヒースタンドのあるシンプルなお店。それにしても視線が痛い(笑)。このあたりをきょろきょろしながら写真を撮っているとなかなかの不審者ぶりでしたので、さもありなんといった感じです。
まずはキングスランドロード(Kingsland Rd)を南へ。すると川(実は運河=リージェントカナル(Regent’s Canal))があってその辺りがイイ感じ。これに沿ってみてみましょう。
まず、橋のたもとにあるのが「by the bridge」。増築に増築を重ねた煉瓦造の建物とグラフィティが目に留まります。
川沿いにはホントにリアルな感じの席があって住民が寄ってくる感じのゆるさ。
リージェントカナルの西側を見たところ。右手が北側ですでに再開発済み。左手南側は昔の倉庫が残ってアーティストやクリエイターが住み着いている状況。リージェントカナルは産業革命時代に物流のために作られた運河。
リージェントカナル(Regent’s Canal) には ナロウボートがかなり係留されていて この先はイズリントントンネル
チョット格調にかけるグラフィティー。
未開発側のちょっと朽ちてる感じがイイのですがこういった風景もいつかなくなるのでしょう。
反対側は住宅の開発が終わった状態。日本のように画一的ではないにしても古い倉庫との対比があってこそ!と思うんですが。それでもここに住めるくらいの収入があるクリエイターは住んでいるらしいです。
運河から見ると盲腸の様になっているキングスランド・ベイスン(Kingsland Basin)。ベイスンは日本語にすると、(水盤状の)くぼ地、盆地、海盆、(河川の)流域、集水地域という意味みたいですね。普通の住宅地に比べると水があってボートが係留されているだけでも面白く見えます。
こうした運河がどのように開発され運営されているかというと以下の通り。
Hackney Users Group(CHUG)はロンドンのキングスランド盆地にある地元の慈善団体です。 1983年に設立され、「Hackneyで運河の使用を促進する」ように設立されました。 1980年代初頭、手頃な価格の住宅を作るためのHackney Councilの助成金は、放棄された盆地の浚渫(しゅんせつ)と、住宅用ボートのための係留施設の設立を可能にした。 個々の居住者はCHUGを形成し、Hackneyユーザーグループの運河として運営されています。
過去30年にわたるCHUGの主な活動は、運河とその環境・歴史的側面について教育し、学校や地元組織と協力してその使用を提唱することに焦点を合わせました。 CHUGは運河環境を積極的に改善し、流域周辺の持続可能な開発のためにキャンペーンを行った。 CHUGは、盆地を訓練空間として使用する同僚の水系慈善団体Laburnum Boat Clubと緊密に協力しています。 CHUGはLBCに包括的なウォータースポーツ活動のための資金と資金を提供しています。
CHUGは係留を管理し維持しています。このきつく編み込まれたコミュニティは、あらゆる年齢の人とあらゆる人生の人々を結びつけます。 英国ではユニークな自営業の係留施設が、ロンドン中心部に必需品として必要な手頃な価格の居住施設を提供しています。 キングスランド盆地の再開発は、CHUGが今後これを行う能力に影響を与える可能性があります。
古本を集めたナロウボートの書店。「Word on the Water」。神出鬼没で運河沿いであればどこにでも出現するそうです。あがってみたのですが案外揺れるので文字を読むどころではないです(笑)。
あたらしい住宅群の1Fにはカフェが設置されて、運河のあたらしい見え方に寄与しています。まずは「The Barge House」
となりは「The Towpath Cafe」。ロンドンはカフェの値段もまぁまぁ高いです。
そのカフェはすべて運河に面していて、反対側ではその様子を見ることはできません。これらの住宅の反対面はそれぞれのマンションへの道路が走っていて駐車スペースになっています。
なんで運河側に面しているかというと、運河の横に造られたトウ・パス(tow-path)という細い道路があるから。日本語にすると牽引路というものなのですが、狭い運河で船を動かすため、馬にロープを繋ぎナロウボートを曳かせるための道路として使っていたというもの。今はランナーや散歩する人のためのとっておきの道路になっているようです。ここらにかぎらず運河脇にはところどころカフェやパブがあって、運河のある生活を楽しんでいる風景があります。
向こうにかかる橋がキングスランドロード(Kingsland Rd)。朝の早い時間でしたが、ランナーや散歩の人が出てきています。
再び、キングスランドロード(Kingsland Rd)。やっぱり建物が新しいとすっきりするものです。ロンドンの街がおよそ煉瓦のテクスチャーがデザインコードになっているので、新しいながらもコードは守りつつと言った感じでしょうか。
Text: Koichiro Sato
Picture: Koichiro Sato
Data


