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新しいティー・カルチャーの作法を提案する「東京茶寮」

煎茶用に再構築したクリアな「禅」の空間。今までのお茶(煎茶)文化を進化させようという深い想いと戦略。「お茶」文化を現代的に洗練させるギミック。というお話です。

April 20 2017 , Shop Report

店づくりに関わるコトやヒトや考え方を多く集めることが “independ”のベースにあるのですが、いつも新しい発見があります。ショップのデザインや商品についてもそうなんですが、この「東京茶寮」さんでは、ブランディングの要諦について唸るようなお話を聞くことができました。

 

東京茶寮さんは三軒茶屋にある煎茶を「飲み比べる」お店です。産地・品種による甘味・旨味・渋味・香りがチャート化されていて、その中から2つ選び、それを一杯目、2杯目と変化を楽しむシステム。お茶菓子も選ぶことができてセット(煎茶2種飲み比べ+お茶菓子で1,300円)。になっています。

商売ですからどのようにかして『何か』を販売しているというのは当然のことなんですが、単純にお茶葉を売っているわけでもないですし、ただの喫茶店というべきものではありません。ココで売っているのは単純にお茶ではなく、お茶を楽しむライフスタイルです。

ここには今までのお茶(煎茶)文化を進化させようという深い想いと戦略があります。と、まぁショップデザインに大きく関わる者としてそのスタイルとシステムに深く感銘を覚えてきました。

 

01東京茶寮

 

ショップは極めてシンプル。そっけないくらい。

モダンにデザインされたカウンターだけのシンプルな空間になっていて「バリスタ」がハンドドリップするシーンをじっくり楽しむための空間。茶道では「茶室」がありますが、それを煎茶用に再構築したものといってもいいかもしれません。クリアな「禅」の空間と言ってもいい佇まい。

あるいはテイスティングするラボといってもいいかもしれません。

02東京茶寮インテリア

天然木の無垢のカウンターと漆喰の壁。ホンモノの素材感が現代的な風情。他には装飾品がなく哲学的な空間。そうなってくると、必然的にお茶にだけ向き合う状況に。そうして、バリスタと何のお茶を選ぶかという会話が必須になります。

カウンターに入るバリスタの方はお茶の専門家然とした講釈ではなく、会話を楽しめるプロといった面持。どんな風になるんだろうという「わくわく」する感じが生まれる接客です。コの字型なのでお客さんがいっぱい入るとお客さん同士が向き合うかたちになり普通の喫茶店では敬遠されるかもしれません。しかし、一人の時間を楽しむ喫茶店ではないので、この空間にいる人は同時にお茶を『利く』体験を共有する人という関係性。向かいであがる感想が聞けるという感受性を披露するワークショップの様なコミュニティー感があります。

 

日本茶専用ドリッパーである「GREEN DRIPPER」。こうした今までとは違うスタイルのギミックがトータルの演出になっています。コーヒードリッパーのようですが、お湯を注がれてもお茶は一滴も下に落ちないでいて、ドリッパーを少し上に持ち上げるとすーっと下に落ちていくのですがどんな仕組みなんだろう?って考えてしまいます。他に目をやる場所がないのでお茶を淹れる所作に好奇心が刺激されるのは間違いないです。とにかく退屈しないように考えられています。

03東京茶寮お茶

03東京茶寮お茶2

お茶の葉の産地で選択するのですが、「単一農園」・「単一品種」という扱い方がたいへん興味深いです。ブレンドされた安定した品質のお茶を愉しむのではなく、「違いを楽しむ」というコンセプトが背景にあって「飲み比べ」が成立しているというのが深いところです。実際飲み比べてみるとその違いに驚かされる結果となって新鮮な感動があります。普通はお茶を飲み比べるなんてしないですから、その体験は結構な発見です。

また、それを「シングルオリジン煎茶」として形式化しているのがカルチャーとして整理する意図が見えます。いままでの「お茶」文化を現代的に洗練させる目線があって、珈琲やカカオ豆が今そうなっているように、茶葉の個性とギミックであたらしいティーカルチャーを作り上げようとしている新進性を感じます。

 

 

お店のお茶は、日本茶ブランド〈green brewing〉Green Brewing Home Page のもので、そういった整理がなされています。お茶の葉の個性だけでなく淹れ方にも新しいコンセプトがちりばめられていて、例えば、基本の「FRESH BREW」、高温で淹れる「HIGH BREW」、爽やかな水出しの「COLD BREW」、そして旨味を一滴に凝縮する「GYOKURO BREW」 などなどカッコイイ感じのワードに置き換わっています。

 『こだわりたい』というマインドを刺激するニューカルチャーといってもいいでしょうね。

04東京茶寮お茶

04東京茶寮お茶2

 

 

出店に当たってこだわってこられたのが『三軒茶屋』(笑)。どうしても茶屋がよかったというのがおもしろいところ。そして実際の立地は駅から少々距離があります。セオリーで考えれば目の前をどれだけのお客さんが通るか?というのは喫茶店ではマストな事項なのですが、東京茶寮にとってはあまり関係ないとのこと。それよりもイメージとしての出店戦略。

ショップの目の前は「明薬通り」。三軒茶屋の駅からは6分以上の距離感。道路幅があって電柱は地中化されており、すっきりとした印象。道路の交通量もさほどではなく、建物も低いので開放感のある通りです。この物件に出会って即決というシチュエーションなのだそうです。

06明薬通り

 

首都高速の高架があるのが玉川通り(246号線)。かなり騒々しいです。やはりライフスタイル系を246側でやるのはなかなか難しいような気がします。

ショップの出店地戦略において、既に渋谷も新宿も飽きられているような感じがします。WEBでブランドのコンセプトをしっかりと伝え最終購入までできるようになっている現在ショップの役割を考えると、こうした「ライフスタイル」を体現することが大切ですね。

05明薬通り

 

この「東京茶寮」、運営しているのはIT系企業のグループで株式会社LUCY ALTER DESIGN(ルーシー・オルター・デザイン)。ルーシー・オルタ―って誰?というような名称ですが、逆さから読むと『足るを知る』ということだそうで。ヒネリが効いてるなぁ(笑)。

 

Text: Koichiro Sato
Picture: LUCY ALTER DESIGN / Koichiro Sato

Shop Data

Shop data

東京茶寮

住所:
東京都世田谷区上馬1丁目34-15
TEL:03-6805-3071 公式サイト:www.tokyosaryo.jp

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