Web magazine exploring value in a unique and personalized creation of real life.
Web magazine exploring value in a unique
and personalized creation of real life.

独創的なレザーの世界を展開する「T.A.S」

最新施術と伝統技術を融合し、ミニマルなデザインでありながら、独特な機能性を持ち合わせる。他にはないライフスタイルレザーブランドがあった。

September 19 2017 , Shop Report

03TAS

ダークな雰囲気が漂うショールームに並んだ多様なレザーのアイテム。「T.A.S(ティー・エー・エス)」は、バッグやフットウェア、ライフスタイル雑貨、アートピースなどをメインに、洋服以外の様々なレザーアイテムを展開するブランドだ。パッと見はミニマルなデザインでありながら、よく見ると独創的なデザインで、かつ機能的な面も持ち合わせている、唯一無二なブランドである。

ブランド名の「T.A.S」の由来は、コンピュータのコマンド「TEST AND SET(テスト・アンド・セット)」。このテスト・アンド・セット命令は、あるメモリの中の古い値をテストしながら、新しい値を書き込む命令なのだが、このコマンドのように、様々なテストを実行し、繰り返し、“綻びのないものづくり”を目指す気持ちが込められている。

ディレクターを務めるのは代表の安藤哲也さん。服飾系専門学校に在学中、仲間とブランドを立ち上げ、学校卒業後もブランドを継続しながら、OEM会社で商品の企画生産に携わってきた。それらの経験を買われ、2004~11年まで国内外に多くのファンを持つドメスティックブランド「ユリウス」の生産管理チーフを務め、11年8月に「T.A.S」を立ち上げた。

「最初はファッションブランドとして、服を作ることも考えました。ですが、東日本大震災を経て、服よりも家の中で消費するもの、よりよく過ごすものに興味を持つようになったのと、これまで経験値から、ロットやパターン、縫製など、物理的な面も踏まえて、レザーブランドなら無理なく面白いことができるのではないかもと思い、このブランドを立ち上げました」

デビュー翌年12年S/Sコレクションをベルリンで発表。当初予定にはなかったが、他ブランドの協力を得てランウェイ形式で行い注目を浴びた。これ以降も海外の展示会を中心に発表を重ねることで、現在は中国、シンガポールなどのアジア圏やアメリカ、イタリア、フランス、ドイツ、クウェートなど、海外だけで約50店舗と取引先を持つように。国内ではファッションのセレクトショップに限らず、アートを扱うギャラリーショップ、ライフスタイルショップなどでも扱われている。

ヨーロッパ的なデザインに日本の古来の伝統技術や、最先端の技術を融合させ、現代的なものづくりを目指す「T.A.S」。多種多様なレザーアイテムを提案しているが、特に海外ではアートピースが受けているという。

05TAS

「海外は無名のブランドであっても、面白い商品であれば買ってくれる場合が多いです。バイイングの仕方が日本とは感覚が別で、自分のショッピングの延長にあるような感じですね」

中でも革の廃材を固めて成型した灰皿は定番の一つ。インスピレーション次第で色んな風に使えるアート要素の強い雑貨は、特に海外で人気だ。

02TAS

これまでものづくりしてきた中で安藤さんの思い入れがあるアイテムを伺うと「傘ですね」と一言。例えばポーターのバッグの様にずっと定番的に置いてあり、『いつか手に入れたい』と思ってもらえるアイテムが作りたかったそうだ。

このレザーの傘は、できるだけ薄く皮をすきつつも革の風合いを生かしながら、撥水加工を施したもの。持ち手部分や革に少しずつ改良を加えながら展開しているアイテムである。

先日行われた18年S/S展示会では「含有/inclusion」をテーマに、革に包み込まれたアクセサリーや皿、変形したり、2WAYで使えたりするレザーバッグなどを提案。バッグとしての機能性はもちろんあり、それ自体のデザインも完成されているように見えて、もう一つの使い方やもう一つのデザイン、もう一つの機能が追加されるという、アイデア満載のバッグシリーズはバイヤーたちにも好評だった。

08TAS

06TAS

07TAS

01TAS

また、陶芸家の望月薫さんと再生をテーマに作られているコラボアイテムとして、焼き入れで割れてしまった皿や気泡が入ってしまった失敗作などを革で包んだ1点ものアートピースや、古い硬貨や鍵と金属プレートを革で挟み込み自由に変形できるプレートなども展開。それだけで部屋のアクセントになるレザーアイテムが印象的だった。

04TAS

これらの「T.A.S」のレザーアイテムは、安藤さんのアイデアと国内にいる革職人が持つ伝統技術や最新技術との融合によって、生み出されてきたといっても過言ではない。

「これからも日本の面白い技術や伝統技術を生かしながらものづくりをしていきたいです。革の廃材を再利用した立体アート的な要素のものも、もっと日本の部屋のサイズ感に落とし込んで作ったり…」と安藤さん。

服にしても、生活雑貨にしても、つい実用的なモノばかりを選びがちになっていた昨今。これからは基本的な機能や実用的な部分を失わず、デザイン性があり、ものづくりの背景が見える様な商品が求められるのではないかと感じた。

Text: Kaori Tomabechi
Picture: Kaori Tomabechi

Shop Data

Shop data

T.A.S

住所:
東京都目黒区青葉台2-21-9-3F(ショールームで要予約)
TEL:info@t-a-s-japan.com 公式サイト:www.t-a-s-japan.com

Tags

Recommend