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INN

3.7坪の『気軽に立ち寄れる空間』であり『都市生活のレイドバック』的な複合型コンセプトショップ。きわめてコンテンポラリーな茶室とでもいうべき空間性。

May 19 2016 , Shop Report

01inn signage

02inn road

ぞくぞくと新しい店ができる奥渋谷。既にいろいろなメディアで紹介されている“INN”を取り上げてみます。

立地的には奥渋谷のメインのストリートから少しそれるような場所。看板が出ていて誘導できるくらいの距離感。それにしてもこういった感じで“INN”という看板を見るとホンモノの旅館なのかと思ってしまいますが、まさにそういう感覚から生まれている店。実際のマンションの建物を架空のINNに見立てると一階がそのカフェとショップになっている「INN(=簡易旅館)」のように感じることができます!不思議! 形態的に不利な物件をうまくカバーした結果になっている名前です。

“INN”は複合型コンセプトストアの名前でアパレルの「post amenities」とカフェの「THE LATTE TOKYO」がパーマネントストア(常設店)。あと期間限定のプロジェクトストアが入るシステムのお店です。 2015年の12月にOPEN。

03inn facade

04inn window

驚くべきはその狭い空間(3.7坪!)で入口の扉に向かって三方をU字型に組んだカウンターで囲むような形になっていること。かなりタイトでお客さんの可動範囲は畳一畳分になるかならないか!という距離感。そんな密度でなら話をするしかないし、そうでないと息が詰まります。それが凄いとこです。初めての訪問なら強制的に親しくなるというか、お互いに人物を確認するというか、普通の店なら何度か通って親しくなるところをたった一度に縮めてしまっています。空間性で近いものなら『茶室』のようなものです。儀礼や所作に堅苦しいものはないですが喋り方や佇まいに人間像が表れてしまうような感じ。

この規模でいきなり複合型と銘打ってショップを作る大胆さは驚きですが、テンポラリーな企画店舗に(なかば強制的に)出会う場として設定された「複合性」に都市的な遊び感覚と、感性のつながり感覚を重視した渋谷コミュニティーの進化を感じざるを得ません。解放的なカフェで椅子に座ってMac開いてという最近のスタイルに対する「アンチテーゼ」のように感じます。渋谷という街において一番重要なのが人と直接会うこと。で、直接情報を得られること、それ以上に人と会うことで化学反応が生まれるようなこと。というのが再確認されるような感じです。

05inn person

06inn interview

志向的には「小さなラボ」で、お客様と密接に向き合うことで「東京のインディペンデント」な面白さを感じて貰うような仕掛けとも取れます。

ソーシャルネットワークが発達した先に目指す、直接的な人間関係でショップを運営するもっとも最近的なお店の在り方と言ってしまってもいい感じ。“INN”が『気軽に立ち寄れる空間』であり『都市生活のレイドバック』を目指していること。と3.7坪が矛盾しない点。そういう在り方がおもしろいかな。ファッション、クリエーターのつながりが形成されていて広く渋谷の街全体にそういったコミュニティーがあって、商品も様々なコラボレーションでいろいろな店で置かれるようになっていて、コミュニティーの中にあるクリエイティブのコンテクストを読み解くことができれば渋谷はもっと面白く感じられます。

07inn post amenities

08inn the latte tokyo

09inn counter

「ネットで服を買う時代におけるショップの意味」という問題に対する回答のひとつが、極端に言えばこの店の在り方であると言えると思います。

 

Text: Koichiro Sato
Picture: Koichiro Sato

Shop Data

Shop data

inn

住所:
東京都渋谷区神山町3-3 T'S GREEN101
TEL:03-6416-8298 公式サイト:inn-tokyo.com

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