Web magazine exploring value in a unique and personalized creation of real life.
Web magazine exploring value in a unique
and personalized creation of real life.

ガラ紡績機で作った糸から布地をつくる

ガラ紡績機でオーガニックコットンの糸を作られているCHICAさんと一緒に布地を作ってくださる方を募集しましたところ、札幌在住のテキスタイルデザイナーの川村諭美(かわむらさとみ)さんから連絡をいただきました。

January 16 2017 , Value Creation Project

以前にガラ紡糸を紹介したところ、さっそく、問い合わせがあった。

「ガラ紡で作ったオーガニックコットン糸」

である。問い合わせをいただいたのは、札幌在住のテキスタイルデザイナーの川村諭美(かわむらさとみ)さん。札幌のファッション専門学校で講師をしながら、手織り機で自身の作品を作ったりワークショップを開催したりしておられる。

005 kawamura

川村さんは、ベルギーに2003年~2010年まで7年間留学した。ベルギーというと多くの人は世界的に有名なアントワープ王立アカデミーを想像するが、川村さんが留学したのはゲントの王立アカデミーだ。

ベルギーの第3の都市ゲントはフランス語ではガン、オランダ語でヘントと呼ばれ、日本でポピュラーなゲントという発音はドイツ語読みに由来する。中世の古い町並みがそのまま残されていて、数年前からは日本での知名度も高まった。

川村さんがアントワープではなくゲントを選んだ理由は、古くて美しい町並みが好きだったことと、学費が安かったことがある。アントワープは有名になりすぎて外国人留学生の料金設定はかなり高騰していたが、ゲントはそうではなかった。

001 kawamura

もともとニットが好きだった川村さんだが、ゲントに留学して織物の面白さを発見した。業界外の人からするとニット(編み物)も織物も大して変わらないように思うが、生地の構造が大きく異なる。織物と編み物では使用する糸の本数が大きく異なる。編み物は多色遣いの柄でも使用する糸の本数自体は少ない。せいぜい10本とか20本程度だ。しかし、織物は経糸と緯糸を交差させて生地を作るため、経糸が最低でも5000本くらいは必要になる。高密度な織物になると1万5000本近くの経糸が必要となる。

その分、編み物よりも細かな表情を付けやすい。

川村さんが織物の面白さを発見した理由は、ゲントでの指導教官が非常に面白みのある人だったからだという。

004kawamura

 

そんな川村さんはCHICAの工場に到着すると、いろいろと質問をして意見交換をされていた。太さが不均一なガラ紡糸を経糸と緯糸に使って生地を織ると、凹凸感があって面白い表面感になるが、凹凸がありすぎて通常の衣服には向かないことが多い。そこで、川村さんは「経糸を普通の紡績糸や麻糸、合繊にして緯糸にガラ紡糸を打ち込めば、適度なシャープさが表現できるのではないか」と提案。CHICAの松井さんもそれに応じていた。

オーガニックコットンという素材に対しての需要はたしかにある。しかし、オーガニックコットンにこだわりたいという消費者の数はそれほど多くなく、またそれにこだわりすぎると通常の衣服や日用雑貨には向かないことが多い。

川村さんの提案はオーガニックにこだわりすぎない生地作り・糸作りに終始しており、ガラ紡糸の用途を広げるためにはそれは必要な提案だったといえる。

例えば、白いオーガニックコットンとほかの色の着いた繊維を混ぜて紡績することで、杢調の色糸が出来上がるのではないかとか、草木染以外の化学的染色による色バリエーションなどの提案もあった。

また、初心者でも楽しく使えるような糸を、織りや編みをする人へ向けて開発してみることへのサジェスチョンもあった。

それについては、以下の4点を変える事で製造する糸のバリエーションを増やせるという。

太さ  →紡いだ糸自体の太さ、引きそろえ、撚り合わせしたときの太さ

撚り  →撚りの強さ、方向

色   →色の違う糸を合わせる、色の違う繊維を紡ぐ

異素材 →違う繊維の糸を合わせる、繊維の状態で綿に混ぜる

今回の訪問で、川村さんがこれから、様々な実験、試織にチャレンジしCHICAの松井さんと意見交換をすることで調整を続けることが決まった。どのような糸、生地が出来上がるのか期待して待ちたいと思う。

Text: Mitsuhiro Minami
Picture: Koichiro Sato

Data

Data

Kawamura Satomi

川村さんのファブリックはこちらでお買い求めできます。
https://www.iichi.com/shop/satomikawamura
URL:satomikawamura.tumblr.com

Tags

Recommend